バンクシーは不快か? 展覧会の感想
バンクシー展 天才か反逆者か
世界で注目を集めるグラフィティアーティストの展覧会に行ってきた。
今回は作品そのものより売買や展示といった作品の扱いが気になった。
一言で感想を片付けると体力を消耗し疲れた。その理由は作品内の暗い世界と皮肉にもそれを反映する展示風景である。
作品と人の関係
そもそも展覧会自体”美術館”ではなく、本人公認でもない。狭い廊下のような場所での展示もあった。このコロナ禍では珍しい密集度合いで、人の動き方もまるでディズニーランドのアトラクション内のようだった。安くはない価格でチケットとグッズを本人非公認の業者が売る方法も露骨でたじろいだ。この関わり方を興味深いとは思うのだが...
落札総額も世界トップレベルの大金である。
今大注目のバンクシーは何位?2021年上半期の落札総額TOP10アーティストを振り返る - NEW ART STYLE (and-art.jp) 私がこの展覧会で感じたアンビバレントな思いは、この作品<フェスティバル(資本主義をぶっつぶせ)>にぴったり合う。
ストリートで公共物にグラフィティするバンクシーの作品は恒久ではない。競合するグラフィティアーティストに上書きされることもある。この過程で各人がより良いグラフィティを追求し、コミュニケーションを楽しむことが面白いと思った。
この作品<パルプフィクション>を巡る他アーティストとの話がドラマチックだった。
写真の元のグラフィティに地元のアーティスト”オゾン”が「ましなもの」を求める落書きをし、それに応じてバンクシーはバナナを銃に変えた。後日オゾンは落書き中に電車に轢かれて死んでしまい、バンクシーはパルプフィクションに天使を書き入れ死を弔う絵にした。ただ彼はnon art fag とも書き入れた。上書き文化を批判しているのだろうか?
落書きされた側の対応もそれぞれ極端だ。撤去する場合もあるし、保護ガラスを設置して鑑賞料を取ることもある。大抵の場合撤去を選択する公権力で、東京のように保護が選択されると痛快である。
東京都庁で展示が始まったバンクシーの作品に似たネ…:バンクシー作品 写真特集:時事ドットコム (jiji.com)
作品について
落札時にシュレッダーにかけられた<風船と少女>。本当に面白い取り組みだ。
展覧会ガイドに反知性主義と紹介されたように、複数作品は敗者は敗者のままの世界線だと解釈し、その点は苦手だった...
世論をかき回し、この展覧会を通じてとっても考えさせられたので問題提起の点で優れたアーティストだと実感した。